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12歳年下の彼とホワイトデーする話
第14章 ピエナスイート

『さぁ、巴さん。
ドライヤー終わりましたよ』

そう言ってドライヤーが済んだ
こっちの頭に顔を埋めて来て
すうううっと髪の毛と頭皮の
香りを嗅がれてしまう。

『ブルガリのシャンプー……、
すごく…、いい香りですね』

何か…妙に…含みのある
いい香りが引っかかってしまいつつ。

スイートのアメニティは
高級感のあるシャンパンゴールド
みたいな色をした箱に入っていて。
港斗君が歯ブラシを取り出すと、
歯磨き粉をブラシに付けて
備え付けてあるコップに
お水を汲んでくれてどうぞと渡して来る。

「そこまで…して貰わなくても…、
自分で…歯磨き…できるから…」

これじゃあ…まるで…自分が
どこかの国のお姫様にでもなったみたい。

洗面所のボウルは2つあるから
2人並んで同時に歯磨きが出来る。

『じゃあ、ベッドの方に行きましょうか』

そう言って、彼にこの部屋の3分の1位の
スペースを使って居る、贅沢すぎる
広さの洗面所とバスルームから、
ベッドの方へとエスコートされる。

洗面所を出ると、フワッといい香りが
風の流れに乗って漂って来て。
スイッチを入れていた、
アロマディフューザーの香りで
部屋の中が満たされていた。

「お部屋が…いい香りになってるね…」

『巴さんも…お風呂上りの
いい香りになってますけどね?』

「………それを言うなら、
同じアメニティ使ってるんだから。
港斗君だって私と、
同じ香りになってるはず…だよ?」

『嗅ぎます?』

「か…嗅ぎませんっ…」

『え?ダメなんですか?
嗅いでくれても…良いですよ?
今はお風呂上りですし、良い匂い…
だと…思うんですけど…』

そう言いながら自分の腕を
鼻先に近づけてクンクンと
自分の身体の匂いを確かめていて。

お部屋の…中ほどまで進んで来て
自分の右手にはベッドが
左手にはソファがあって…
このまま…ベッドの方で良いのかなと…。
どっちに進むか…足を止めて
巴が迷って居ると。そっと…
両方の肩に彼が手を添えて来て。

『巴さん、こっちですよ…』

ソファの方にもベッドの方にも
向けて居なかった身体を
肩に添えた手でベッドの方向へ向かされた。


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