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ハッテンlove
第2章 姫野のバスケ
唯一手抜きに失敗したのが、この学校の入試。だから首席になって入学式で全校生徒の前で喋るなんて大失態をやらかしてしまった。インフルエンザからの病みあがりでフラフラしていたし、しょうがないよね。

そのフラフラの時に助けてくれたのも、彼――近藤くんだ。



「おい、大丈夫か?」

そう声をかけて、僕は眩暈がして倒れそうになったのを支えてくれた。

入試会場へ向かうまでの道のり。一人暮らしの闘病生活で体力が落ちた僕は、とにかく歩くのもやっとで。
遅刻しちゃうなぁ…なんて思っていたら、彼がおんぶをして運んでくれた。

180㎝を大幅に超える長身。筋骨隆々の身体。
逞しい腕。

昔から僕は、自分とは正反対の…ガチムチくんに憧憬を抱いていたのだが、この時にほわぁんとした夢心地に包まれたのだ。

保健室で試験を受けさせてもらったのだが、意識が朦朧としていたせいか、いつもならわざと不正解を出す問題に堂々と正解を書いてしまったのだ。

おかげさまでパーフェクトな答案。この学校始まって以来という高得点をたたき出してしまったよ。
うちの学校、県立の中でも中堅レベル。
そりゃ浮くってものだよ。

幸いなことに、成績がいいからと言って、教師の一部以外には特段目を引くこともなかった。進学校だったら生徒もライバル意識溢れているから、こうはいかない。
おバカ高校を受験してよかった。


「姫野ー、姫野って本当に身体弱いの?」

横からこそっと二宮くんが僕に声をかけてくる。僕のあらゆる擬態を知っているからこその質問だろう。
彼は僕がハッテン場のアイドルであることも知っている。
なにを隠そう、僕が現れるまでのアイドルはこの二宮くんだったからね。

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