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ハッテンlove
第2章 姫野のバスケ
僕と比較してしまえば平凡そのものではあるものの、可愛らしい容貌でケラケラとよく笑う。ノリのいい明るい性格で、クラスでも人気もの。
その性格は、ハッテン場へ行ってもいかんなく発揮されていた。

僕がハッテン場へ行けばいいじゃないか。そう思ったのも彼のハッテン場での活躍を目にしたからだ。
クラスの誰も、二宮くんがハッテン場のアイドルだなんて思いもしないだろう。
ごく普通の男子で、女の子からも人気がある。彼女の一人や二人はいてもおかしくない。

そんな二宮くんが僕が憧憬を抱くようなガチムチに囲まれ、ちやほやともてはやされている。

完璧な裏の顔で。

頭に雷が落ちたような衝撃だった。

僕も普段は目立たない様に変装しなければならない。でもそろそろフラストレーションも溜まってきた。なんせ10年近くこんな生活なんだから。
これじゃ生きてるのか死んでるのかわかんなくない?
だって…本当の僕を誰も知らない…なんて。

解放したい。本当の自分の美しさを。
そして、ガチムチに愛されたい。
二宮くんのように…裏の顔としてなら、目立っても母は許してくれるだろう?


「聞いてんの?姫野。これじゃホームルームが長引いちゃうじゃん」

球技大会に出る選手が決まらない。
面倒くさそうな行事はパスしたいというのが皆の心情だろう。

二宮くんは、時計と球技大会のメンバーが書かれた黒板を睨めっこしている。
今日は大切な彼氏とどっかに行くんだっけ?

かつてのアイドルも、一人の相手を見つけたようだ。
あのちやほやされる快感を捨ててまで選んだ相手は、顔と身体は抜群と言えるかもしれないけど、二十代半ばの男。

経験豊富なのも悪くはないけどさ。でもやっぱり…若い方がよくない?

僕みたいに十代に目をつければよかったのに。しかも近藤くんは二宮くんの親友。いつでも狙えるポジションだったじゃないか。こんなに美味しい獲物を逃すなんて、やっぱり君はバカだね。
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