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ハッテンlove
第2章 姫野のバスケ
「…君が出ればいいじゃないか」

二宮くんはおバカではあるものの、運動神経はいい。百メートルはクラスで一番早いんじゃなかったっけ?

「俺はとっくに出ること決まってるよ。近藤に義理もあるしさー。あと一人だよ?お前、あんなに遊びまくってるのに、身体弱いわけないじゃん」

確かに、身体は…というよりお尻は丈夫かもね。
ガチムチと戯れているうちに、体力もついてきたし。

「しかし…この美しい僕のたぐいまれな運動神経が世間に知られたら、母が…」
「なにも、インターハイ出るわけじゃないんだよ?学校の球技大会に出るくらいで目立つわけないじゃん」

二宮くんは呆れ顔だ。
教壇の前では近藤くんが「早くしてよー」とブーイングを一身に浴びている。
少し気の毒ではある。

「しかし…」

母が亡くなって、もう一年になる。
そろそろ…いい…かなぁ?

本来目立ちたがり屋な僕の心が、禁忌の誘惑に傾きかけている。
表の世界でも輝きたいんだよね、本音を言えば。

「姫野ー、頼むよー。今日は彼氏とフレンチ食べに行くんだからー」
「フレンチ?君、テーブルマナーなんて知ってるの?しかも君の彼氏って安月給じゃなかったっけ?」

生意気な。僕だって行ったことないのに。

「ボーナス出たんだもん。早く行きたいよー」
「勝手にホームルーム抜ければいいだろ。僕を巻き込まなくても…」
「近藤が可哀想じゃんかー。早く、姫野ー」

しょうがないなー…。
しぶしぶと僕は手をあげた。

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