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ハッテンlove
第2章 姫野のバスケ
☆★☆


僕が体育を母に禁じられたのは、小学一年の体育の授業がきっかけだ。
僕はクラスメートに勧められるがまま、みんなの前でコバチを披露した。当時から僕は目立ちたがり屋さんだったのだ。
みんなの称賛の目が堪らなかったね。

コバチっていうのは鉄棒の技の一つで、腕を伸ばした状態のまま、グルングルンと高速回転するやつね。
一応高等技だけど、僕は誰に教えられることもないまま、この技を習得したのだ。

先生はビックリして、母に「本格的な体操教育を受けさせたらどうだ?」なんて言っちゃったんだよ。今考えれば余計なことを…って感じだけど、僕の華麗な技に先生も魅せられてしまったわけだよね。

母は連絡を受けてすぐ泣きだしてしまった。
「ごめんね」と言いながら、でも厳しい顔で「葉月は身体が弱いの。もう体育はやっちゃ駄目」なんて言って。
それ以来やっていない。

どうして母は、ヅラの件といい、そこまで目立つことを嫌がったのだろう。疑問には残ることだけど、身体が人よりも弱いっていうのはすぐに嘘だってわかったよ。

だって、僕には持病なんて一つもなかったし、人前で倒れるなんていうことも一度だってなかった。

母が亡くなって一年かぁ……。
仏壇にお線香をあげて、ごめんねと謝った。

ま…裏の世界とは言え、素顔を晒してしまったし、今回もインターハイに出るわけでもない。球技大会だしね。

少々、僕が華麗にコートを動き回ったところで、何も起こらないだろう。

「それに。多少運動した方が、お肌の調子もいいんだよねぇ」

とはいえ、昨日の体育のバスケの練習。なにせ約十年ぶりの体育だったからね。
足がもつれちゃうし、ドリブルもうまくいかないしで大変だったよー。ルールもよくわかんなくて、ファウルとか取られちゃうし。
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