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ハッテンlove
第3章 heart+heart
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「もしもし、寛人くん?明日は狂楽の湯で待ち合わせしない?」

金曜日の夜。姫野は毎度俺に電話をかけてくる。
特徴的な声。高いわけでも低いわけでもない。少し冷たいような…でも甘美な響きもする。

バレてないって本気で思ってんなら、やっぱこいつは救いようがないほどのバカだ。
そして、そんな小芝居に付き合ってる俺も、相当なバカだ。

「別にいーけど。でも、なにもしないからな」

そもそも銭湯でなにかヤらかしてる方が異常なんだけど。
悠真から聞いてはいたけど、生で見た衝撃はハンパなかったぜ。それで興奮した自分にも衝撃だったぜ。
俺…男で勃つんだな。初めて知ったぜ。しかも俺まで仲間入りしてしまった。そんなバカなって思ったよ…。


「じゃあ明日、駅で待ち合わせね」

クスクスと笑いながら、姫野は通話を切った。

断ればいーのに、俺は毎週末こうやって姫野と約束して、ヤるだけの付き合いをしている。
まさにチンコとケツだけの関係だ。

あの筆おろししてもらった翌週の月曜、悠真と話してる姫野の声を聞いていて、背筋が凍ったよ。
あのヤりまくった変なガイジン…こいつじゃんって。気づいてゾォッとした。

見れば見るほど怪しい変装。誰もなにも突っ込まないのが不思議。俺もこういう関係になるまでは、変な髪形だなーくらいにしか思わなかったけどさ。

もうやらない方がいいってわかってるのに、滾るような性欲に負けて次の約束をして。
ムカついたから酷い抱き方してやろうと思ったのに、本人目の前にするとそれも出来なくて。
自分はもっと誠実な男だって信じてたのに、目の前に餌をぶらさげられたらただの獣だった。

姫野に一言「気づいてるよ」って言ってしまえば、この関係も終わる。それが惜しくて言えないでいる。
悠真のこと責められない。俺も最低だな。
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