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ハッテンlove
第3章 heart+heart
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「久しぶりだね」

姫野は駅前の売店の前で、にこやかに俺に話しかけた。
深い蒼の瞳がまっすぐに俺を見つめる。

見れば見るほど整った顔だ。そして存在に華がある。
売店のおばちゃんが姫野のことをちらちら見てる。すげー目立つ。

久しぶりじゃねーし。昨日も一昨日もその前も会ったよ。毎日お前と顔合わせてるよ。
でも俺も白々しく「そうだな」と返した。

姫野が先週、先々週とヤる約束を断ってきた。
断りも向こうから入れるんだよな。習慣になってるけど、いつ約束したんだって話だよ。

断った理由は「仕事で海外に行かなきゃいけなくて」なんていう嘘八百。
本当の理由は、捻挫でエッチどころじゃなかったって言うのと、俺に捻挫がきっかけで、姫野=ヒメってバレたくなかったから。
ここまでわかってるのに、俺は姫野の嘘に気づかない振りをする。

「モスクワでの取引はすごくうまくいったんだよ。社長も僕の功績が大きいって言ってくれて…」

姫野が呼吸をするように嘘を並べてる。俺は「そーか」と気のない相槌を打つ。
なにがモスクワだよ。ピロシキでも売ったのかっつーの。

しかし…嘘を並べ、ここまでの美貌を隠し、もっさり変装しているこいつの事情って言うのを知るのが怖い。

長年、ずーっとこの二重生活なんだろ?
たぐいまれな身体能力を持ちながらも、体育も参加しなかった…いや、出来なかったのか?

このナルシストで目立ちたがり屋の性格で、あの変装…。
どんだけストレス溜まるだろう。

恐ろしい心の闇を感じる。
俺にはその闇を受け止める覚悟がない。

姫野を知れば知るほど、そんなに悪いヤツじゃないってわかる。努力家で、闘争心剥き出しのプレーを見ていたら、一人の男としても好感が持てる。

もう少し…友達としては近づきたいとは思う。
それなのに、俺はどこかビビってる。男らしくないな…。



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