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ハッテンlove
第3章 heart+heart
「姫野!」

高校生の腕の中にいる姫野は、全身が桃色に染まり、ぐったりとしている。
俺が駆け寄ると、高校生は姫野をひょいと俺に寄こした。

「…なんか露天でオッサン三人に絡まれてぐったりしてたよ」
「なんか様子おかしかったから助けてみた」

そう言って、高校生達は去って行く。
俺は慌ててサウナを出て脱衣所に運ぶ。まっつんも同じように後に続く。


そうだ。俺…姫野を追いかけようと思ってたんだっけ。
なんで忘れてたんだろ。ムキになってサウナ勝負なんかして。肝心なことが置き去りじゃねーか!
俺のバカ野郎!


「どうしたんだ?救急車呼んだ方がいいか?」

どうしていいのかわからず、意識のない姫野に呼びかけてみたけれど。
姫野の瞳は堅く閉じられて、唇が苦しげに半開きのまま。

まっつんは自販機からポカリを買うと、口に含む。そして、俺の腕の中にいる姫野に口うつしで飲ませた。

ちょっとムカ。
ムカついてる場合じゃねーけど。
ていうか、なんでムカつく必要があるんだ?俺…。

「逆上せたんだろ。無理矢理囲い込みやがって。悪質なヤツらもいたもんだな。おい、そいつらどんなヤツだ?この中にいるか?」

まっつんは高校生達に尋ねる。でも、首をかしげていた。
この中にはいないらしい。

「とりあえず、適当に服着せて、休憩室で寝かせようぜ」

二人がかりで服を着せた。意識のない相手の着せ替えすんのって骨が折れるぜ。
姫野を抱えて、休憩スペースへ移動。

濡れタオルをおでこに載せて、そのまま寝かせるのもなんだし…。そう思って膝枕。
ガイジン美少年を膝に載せているだけに目立つ。周りの視線が痛いぜ。

姫野はぐったりと寝ている。まるで精工なマネキンみたいだ。
普段、なんかムカつくなーって思ってるけど。でも、こんな人形みたいな姫野、姫野らしくない。

姫野をこんな目に合わせたヤツ…ぶん殴ってやりたいぜ。

「…勝負つかなかったな」

まっつんが横で呟く。表情は清々しい。性格がいい男なのかもしれない。

「俺さ。ハッテン場でマジになるってことないと思ってたんだよ。ヒメとだって、楽しい遊びだと思ってた。けど、その余裕はお前が現れるまでのことだったな」
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