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ハッテンlove
第5章 友達
二宮くんの表情は、とても幸せそうだ。
好きな人を語る時って、みんなこうなのかなぁ…?
例えば…近藤くんも…。好きな二宮くんのことを僕に語ることはないけど。
もしかして…こんな表情になったりして…?

「姫野?」

ぼーっとしてしまった。さっきまで高かったテンションが少し下がったような…。

「…なんでもない」

どうだっていいじゃないか、そんなこと。
仮面をかぶって過ごさなきゃいけない僕には恋なんてご縁がないんだから。

「とにかく、彼に相談してみようと思うんだけど。姫野はそれでいい?」
「いいけど…」

トントン拍子に、便利屋の彼氏さんに依頼することになってしまった。
二宮くんがスマホを嬉しそうにいじって、彼に電話をかけ始める。

僕は、友達思いの二宮くんのことが嬉しいような…でも、素直な彼が羨ましいような、妬ましいような、そんな思いでそれを見つめていた。



「…それでね、そのレイプ犯をなんとしても捕まえたいんだよー。報酬は俺の出世払いで」

二宮くんがものすっごくはしょって説明をする。
報酬出世払いって…。僕には二宮くんが出世するようにはとても思えないんだけどね。

「あー…そんな細かいことは気にしないで。へへへ」

二宮くんは適当な感じで電話を切ると、ニマニマした顔で僕の方に向き直った。

「姫野…。俺、すっかり忘れてたんだけど。今日、学校だったね」

そうだっけ…?
そうだった…。

昨日が日曜だったから…。今日は月曜だったね。日曜にゲーセンで遊んだ記憶が遠い。いろいろあったから。

「僕、学校行くの無理。身体中だるいし」
「わかってるよ。俺も今日サボる。今の仕事がひと段落したら彼が来るから、それまで寝てていーよ」

こう見えて、僕は無遅刻無欠勤である。皆勤賞が今日、破られるのか…。
でも仕方ないよね…。
お言葉に甘えて、休ませてもらおうっと…。


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