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ハッテンlove
第5章 友達
「そのナイフ、何に使うの?」

二宮くんが首を傾げていると、泰三さんがニヤりとした。

「いや…そいつに“前”があったらラッキーだな、って思ってな」
「前?」
「詳しくは言えないな」

二宮くんは相変わらず釈然としない表情だったけど、僕にはわかったよ。
前=前科。

でも、単なる便利屋が、指紋から前科まで調べられるとは思えないけど…。

「それと、ヒメ。それ、松下に見せて平気か?」

泰三さんはビデオカメラを指さして僕に尋ねた。

僕にご執心という松下さんか。
少し考えてみて、「いいよ」と了承した。
どっちみち、見せるつもりでビデオの存在を明かしたわけだし。泰三さんの部下だったら、悪用はしないだろう。

「言っとくけど、俺は見ないから安心してくれ。しばらく狂楽の湯に行ってないから、役に立つかわかんねーしな」

僕達(というより嫉妬深い恋人を)を気遣うように笑って、二宮くんの頭をポンポンと撫でた。

「それとさ、悠真から山から下りて来たって聞いたけど、どの辺の山だ?土地勘のないヤツが行けそうな山?」

泰三さんが鞄から地図を取り出して広げて見せた。

「ここが二宮くんの家で、僕は狂楽の湯のこの道から連れ去られて…」

地図を辿ってみる。山と田んぼが広がる地図。どこの山かわからない。

「泰三さん、車で行ってみたらどうかな?その現場から、姫野の感覚で着いた場所。そこが犯行現場じゃないかな」

下りてきた時は真っ暗だったけど、実際行ってみたらなにかわかるかもしれない。

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