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ハッテンlove
第5章 友達
「姫野?」
「平気」

平静を装って、泰三さんの車の後部座席に乗る。二宮くんは助手席ではなく、僕の隣に乗りこんだ。

「泰三さん…姫野が…」
「やめるか。ヒメにはきつすぎる」

僕は首を振った。でも頭痛い…。あの時の、怖い思い。気持ち悪さが蘇ってくる。
情けないことに、涙まで込み上げてきた。
もう…僕ってば、なんでこんな情けないことになってんの?あいつらやっつけてきたのに。

「姫野…俺もさ、痴漢に酷いことされた駅…まだ降りられないんだ。怖くて。泰三さんがいてくれても、まだ怖いんだ。なのに、ごめんね。こんなところ連れてきて。ほんとごめん…無理しないでいーよ」

二宮くんがそう言って、優しく背中を撫でてくれた。
僕は二宮くんとは違うのに。優しい彼氏なんて出来ないのに。


☆★☆


「ま、大体の場所はわかったわ。俺が犯人だったら、人通りのないこの道を抜けてB岳方面だな」

二宮くんの部屋に戻って、また地図を眺める。

僕の体調不良でせっかくの現場検証が…って思ったけど、泰三さんは涼しい顔で犯行現場の予想を付けてくれた。

「なんでそこってわかるの?」
「ここからそう時間かからず行ける山ん中って言ったら候補地は三つだけど、そのうち一つめの道は工事やってるし、もう二つ目はでかい国道通る上に、信号待ちのところに警察署がある。自分のやってることのヤバさがわかるなら避けるだろ」

なるほど。さすがは便利屋さん。
隣を見ると、二宮くんが「惚れなおしたー」って目で泰三さんを見つめてる。
はぁー…見せつけられるよ、loveloveをさ…。



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