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籠の鳥
第3章 喪失
椅子から降りてローブを直していると、食事を持った要さんがやって来た。


要さんは、ベッドのサイドテーブルではなく カウンターの前にあるダイニングテーブルの上にトレーを置いた。


「今日は、こちらで頂きませんか?」


ダイニングテーブルでの食事…


当たり前の事なのに凄く緊張する。


私は、コクリと頷くとダイニングテーブルに移動する。


要さんが、椅子を引いてくれて
私は、そこに座った。

フォークに手を伸ばそうとすると、横から延びてきた手にフォークを奪われた。

「あっ…」

椅子の背もたれに手を置いて 私の顔を覗き込む様にする匠さんと目が合う。


「お姫様、本日は私がお食事のお手伝いをさせて頂きます」


いたずらっ子みたいな笑顔で恭しく頭を下げる匠さんに
どうしたら良いのかわからず 要さんに視線を送ると、要さんは ゆっくり首を縦に振る。


それって…
食べさせて貰えって事だよね…


戸惑う私を他所に、匠さんは私を持ち上げると椅子と私の間に身体を滑り込ませ、私を膝に抱き抱える。


「一杯たべてね」


そう言って、ワインを口に含み、唇を重ねた…





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