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人妻愛人契約
第1章 10億の借金
三河屋の主は、徳本善一(ぜんいち)と言って、歳は43歳。いかにも、精力あります、というように脂ぎった顔は、離れ目、団子っ鼻、たらこ唇と三拍子そろい、お世辞にも男前とは言えない。その上、お腹もでっぷりと出ている。

しかし、容姿はともかく、経営者としての腕は確かで、若い頃は放蕩息子と言われていたが、大学を卒業後、三河屋を任されると、あれよあれよと業績を上げ、現在は三河屋だけでなく4軒の旅館を経営していた。

さっき会った女の子たちが泊っているSANGAもその一つで、一人一泊6万円の高級旅館だが半年先まで予約が一杯になっているという。

こうした手腕を買われ、二年前に泰三の後任として旅館組合の理事長に就任した。湯めぐりも善一の発案で始まったものだった。

一方で、慎吾が言うように女癖が悪いのも有名だった。

43になったいまでも正妻を持たず、何人もの愛人を抱え、気に入った女を女将として自分の旅館に立たせている。中居にもよく手を出しているようで、無理やり犯され、妊娠を理由に辞めた子も多いと聞く。まさに女性の敵のような男だった。

顔を合わせる度に希実は虫唾が走ると言っていた。
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