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人妻愛人契約
第7章 移りゆく季節の中で~春、パンドラの箱
「お久しぶりですね」
寿司を頬張っていると、突然、斜め後ろから声を掛けられた。振り向くと、沙耶が立っていた。クリーム色の地に季節の花が色鮮やかに描かれている着物に、朱色の帯を締めている。おそらく希実を除けば、会場で一番美しいだろう。
「あ、どうも。あけましておめでとうございます」
祐樹は口をモグモグさせながら挨拶をした。沙耶は微笑みながら、シャンパングラスを片手に祐樹の隣に身体を寄せてきた。
「その後、希実さんとの関係は、お変わりありませんか?」
「どういう意味ですか?」
「お二人の関係が壊れてなければいいなと思って」
「ご心配いただき、ありがとうございます。お陰様で僕と希実は変わりありません。大丈夫です」
「そうですか。それはよかったですね。私の方は……」沙耶はシャンパンを一口飲むと、視線を善一と希実に向けた。二人は他の人と楽しそうに談笑している。「ほら、見てください。あの通りです。旦那さまったら、希実さんに夢中で全然、私のことなんか相手にしてくれなくて」
「そんなことないでしょう」
「本当ですよ。ここのところ出張だとか言って、外で泊まることも多いですし。確か希実さんもよく東京へ行かれるんですよね。もしかしたら、こっそり二人で会ってるのかも……」
「まさか!」
祐樹はドキッとした。持っていた皿を落としそうになり、慌てて皿を持ち直す。それを見て、沙耶が笑った。
「冗談ですよ」
「じょ、冗談ですか!」
「ええ、冗談です」
祐樹はホッとため息をついた。
「もう、沙耶さんも人が悪いな。びっくりさせないでくださいよ」
「この前のお返しです。これくらいなら安いものでしょ」
沙耶はまだ笑っている。
あの時のこと、相当根に持ってるんだなあ。
祐樹は、沙耶の顔を見た。黒目勝ちの愛くるしい瞳がじっと見つめてくる。可愛い人だと思う。希実がいなかったらきっと好きになっていたに違いない。
寿司を頬張っていると、突然、斜め後ろから声を掛けられた。振り向くと、沙耶が立っていた。クリーム色の地に季節の花が色鮮やかに描かれている着物に、朱色の帯を締めている。おそらく希実を除けば、会場で一番美しいだろう。
「あ、どうも。あけましておめでとうございます」
祐樹は口をモグモグさせながら挨拶をした。沙耶は微笑みながら、シャンパングラスを片手に祐樹の隣に身体を寄せてきた。
「その後、希実さんとの関係は、お変わりありませんか?」
「どういう意味ですか?」
「お二人の関係が壊れてなければいいなと思って」
「ご心配いただき、ありがとうございます。お陰様で僕と希実は変わりありません。大丈夫です」
「そうですか。それはよかったですね。私の方は……」沙耶はシャンパンを一口飲むと、視線を善一と希実に向けた。二人は他の人と楽しそうに談笑している。「ほら、見てください。あの通りです。旦那さまったら、希実さんに夢中で全然、私のことなんか相手にしてくれなくて」
「そんなことないでしょう」
「本当ですよ。ここのところ出張だとか言って、外で泊まることも多いですし。確か希実さんもよく東京へ行かれるんですよね。もしかしたら、こっそり二人で会ってるのかも……」
「まさか!」
祐樹はドキッとした。持っていた皿を落としそうになり、慌てて皿を持ち直す。それを見て、沙耶が笑った。
「冗談ですよ」
「じょ、冗談ですか!」
「ええ、冗談です」
祐樹はホッとため息をついた。
「もう、沙耶さんも人が悪いな。びっくりさせないでくださいよ」
「この前のお返しです。これくらいなら安いものでしょ」
沙耶はまだ笑っている。
あの時のこと、相当根に持ってるんだなあ。
祐樹は、沙耶の顔を見た。黒目勝ちの愛くるしい瞳がじっと見つめてくる。可愛い人だと思う。希実がいなかったらきっと好きになっていたに違いない。