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人妻愛人契約
第8章 あの夜の出来事
しばらく呼び出し音が鳴ったあと、ガチャ、先方が受話器を取る音が聞こえた。

「祐樹?」

受話器に向かって希実が言った。

「希実さん?」

受話器から祐樹の声が聞こえてきた。

善一はニヤリと口元を綻ばせると、希実にちょっかいを出してきた。後ろから抱きしめ、浴衣の胸元から手を入れようとしている。

どうやらこれがやりたかったようだ。

希実は顔を顰めると、善一の手を払いながら、

「うん、起こしちゃった?」と受話器にむかって言った。

「いや、ちょうど起きたところ」

「そうか、早起きだね」

「まあね」

隙をついて、善一の手が希実の胸元に滑り込み、乳房を揉みはじめた。

「うっ……」

希実が小さな呻き声を漏らした。

「これから、そっちに戻るんだけど、わたし、部屋の鍵、持ってないから、祐樹が寝てたら入れないでしょう。だから電話したんだ」

「そうか」

「それと三河屋さんがね。朝ごはん、一緒に食べましょうって。時間は……」

「7時にしましょう」

乳房を揉みながら善一が希実の耳元に唇を寄せて囁いた。

「7時でいいかな?」

「僕はいいけど」

「じゃあ、それでいいって伝えておく。じゃあね」

希実は電話を切ると、善一を振り返った。

「もう……。変なことしないでください」

怒っているが、あきらかに前日までとは言い方が違う。どこか媚びるような響きがある。

「まあ、いいじゃないですか、ご主人は何も気づかなかったんでしょう?」

「それはそうですけど……うんッ……」

善一が唇を重ね、口を吸ってきた。希実も吸い返している。

「もう1回やりましょうか」

「だめです。朝食に行くんですから。遅れちゃいます」

「少し遅れたっていいでしょ」

善一が希実を押し倒した。

「ダメ……」

希実の声に力はなかった。そのまま二人は交わった。

「希実さん、イキます!」

「わたしもイク……イク、イク、イクぅぅぅッ!」

同時に身体を震わせ、終わったときには、もう7時を過ぎていた。希実はシャワーを浴びる暇もなく、浴衣を着た。その間に善一は、電話で沙耶に祐樹を迎えにいくように言った。

そこでようやく動画は終わった。
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