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人妻愛人契約
第9章 恋人たちの思い出~夏、浴びせられた欲望
8月、希実は、藍色の生地に百合をあしらった浴衣を着ていた。帯は黄色だ。

この日のことは祐樹もよく覚えている。善一が何度も予定をキャンセルしたときだ。

「いい加減にしてください。二回も約束した時間を変えるなんて。わたしをなんだと思ってるんですか」

希実は顔を赤くして言うと、プイッと善一に背中を向けた。

「へへへ、悪かった、悪かった。そんなに怒るなよ」

善一は背後から希実を抱きしめた。白いうなじに唇を這わせる。

「わたしにだって、わたしの都合ってものがあるんです」

希実の語気は荒い。

「都合? ここのことか?」

善一の片手が希実の股間を浴衣の上からまさぐった。

「うっ……」

希実が顔を顰めた。

「そんなに俺とやりたかったのか?」

「ち、違います。そんなことじゃありません」

「本当に? 無理しなくてもいいんだぞ。待ちきれなくて、昨日、旦那とやったっていうじゃないか。希実の恥ずかしい声がフロントまで聞こえてきたって聞いたぞ」

「誰がそんなことを……。嘘です、そんなこと。聞こえるわけないじゃありませんか」

「聞こえるわけない、か。フフフ、本当にしたんだな」

「え……」

希実は、目を大きく開いたあと、恥じ入るように頬を赤く染めた。

善一は希実の耳たぶを甘噛みすると、空いている方の手を浴衣の襟元から中へ入れていった。舌先で耳を舐めながら、乳房をモミモミと揉む。

「で、どうだった? 満足できたか?」

「……………」

希実は目をギュッと閉じると、顔を横に背けた。

「答えられないか」

股間をまさぐっていた手が浴衣の裾をかき分けて中へ入っていく。

「うッ……」

「こんなに濡らして……ぐっしょりじゃないか」

善一は口元をニヤリと歪めた。股間深く潜らした手を卑猥に蠢かせる。

「んんっ……」

希実の口から艶っぽいため息が漏れた。

「今日は、お詫びにたっぷりと可愛がってやる。腰が抜けるくらいに」

そのまま善一は、希実を抱きかかえるようにしてベッドに倒していった。
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