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人妻愛人契約
第11章 恋人たちの思い出~冬、電話の向こうで
「琴音さん! 待ってください!」

祐樹は大きな声で叫び、駆け寄った。琴音が立ち止まり、振り向いた。

「一つ聞きたいことがあるんですけど」

「何でしょう?」

「今回の研修に三河屋さんは参加されましたか?」

「沙耶さんは参加されませんでした。仕事の都合が悪かったようです」

「徳本さんは?」

「徳本さんって、理事長さんのことですか。であれば参加してません。女将の会の研修てすから。男性は一人もいませんでしたよ」

琴音は微笑んだ。

「そうですよね。女将の会の研修ですものね……。呼び止めて、すみませんでした」

祐樹は頭を下げた。琴音は会釈して、それでは、と言って今度こそ本当に立ち去った。

「はあ〜」

祐樹は大きなため息をついた。

動画を見たせいで、希実のことを信用できなくなっている。どうしても悪い方に想像がいってしまう。そんな自分がたまらなく嫌だった。

祐樹は重い足を引きずるようにして家路についた。
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