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人妻愛人契約
第13章 奪還
夕方、希実と愛未が沖縄から帰ってきた。

「パパ、ただいま!」

愛未は祐樹を見ると、手に何か持って駆け寄ってきた。祐樹は抱き上げた。わずか4日間なのに少し日焼けしている。

「お帰り。楽しかったか?」

「うん、楽しかった。はい、パパにお土産」愛未は、きれいな縞模様がついた貝殻を祐樹にくれた。「ママと一緒に拾ったの」ニッコリと微笑む。

「そうか、ありがとう。大切にするよ」

祐樹も微笑みながら、愛未の頭を撫でた。

「祐樹、熱があるんだって」

希実が心配そうに祐樹を見た。

「ちょっとね。大した事ないよ。寝たらだいぶよくなったから」

「そう。だったらいいけど……」

希実はまだ心配そうに祐樹の顔を見ている。

「本当に大丈夫だって、ほらね」

祐樹が笑いながら、腕を上げ、二の腕に力コブをつくる真似をすると、ようやく笑顔になり、「だったらいいけど……。わたし、これから旅館のほうに出てもいいかな。人手が足りないみたいだから」と言った。

「もちろん、そうして。愛未は僕が見てるから」

「うん」

希実は和服に着替え、旅館へと向かった。

4日間留守にしていた間の帳簿の点検もある。希実は、遅くなるから先に晩御飯食べてて、と祐樹に言った。祐樹は、母屋で愛未と二人きりで夕食を取った。

夕食後、後片付けをしていると、愛未が、見て、とぬいぐるみを持ってきた。

「何、それ?」

祐樹が聞くと、

「ジンベエザメだよ」と教えてくれた。「水族館に行ったとき、善一おじちゃんに買ってもらったの」

ドクン! 祐樹の心臓が大きく脈を打った。

「善一おじちゃんも一緒だったの?」

恐る恐る祐樹は愛未に聞いた。

「そうだよ」

「一緒に泊まったの?」

「うん、ママと一緒のベッドに寝てた」

「ママと一緒のベッドに?」

「うん」愛未の顔が少し曇った。「でも、愛未、あのおじちゃん嫌い」

「どうして?」

「ママ、泣いてたもん」

「ベッドの上で?」

「うん」

「そうか」

祐樹は愛未を抱きしめた。

こんな小さな子の前で、あの男は希実に何をしてるんだ――。

怒りがこみ上げてきた。

見てろよ――。

祐樹は拳を握り締めた。
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