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人妻愛人契約
第14章 消せない記憶
希実がゆっくりと目を開いた。

「わたし、どうしたんだろう」はぁはぁと肩で息をしながら呟いた。「すごく気持ちよかった……」潤んだ美しい瞳がさまようように動き、やがて祐樹の顔を見て止まった。

「あれ、祐樹、どうしたの?」

祐樹は、慌ててパジャマのズボンをずり上げた。

「希実さんがうなされてたんで心配になって起きたんだ。変な夢でも見たの?」

祐樹は、顔を引きつらせながら言った。

「ごめんね。エッチな夢、見ちゃった」希実は恥ずかしそうに顔を赤くした。「わたし変な声出してた?」

「少しね」

「そうか。恥ずかしい……」

希実は腕で目を隠した。

「でも、素敵だったよ、希実さんの声。ちょっと興奮しちゃった」

祐樹は正直に言うと、希実は小さく頷いた。

「とっても素敵な夢だったの。わたしと祐樹が愛し合う夢」

「僕と希実さんが?」

「うん。夢の中で祐樹が、わたしを愛してくれるの、たくさん。それで、すごく気持ちよくなっちゃった。こんなの初めて」

希実は照れながら微笑んだ。

「そうか。僕と愛し合う夢か……。夢の中の僕はどんな顔をしてた?」

「そう言われると、夢の中だからね。顔まではっきりとは覚えてないけど……でも笑ってたわ」

「笑ってた?」

「うん、嬉しそうに笑ってた。だからわたしも嬉しかった」

「そうか……」

「祐樹、お願い、キスして」祐樹が唇を重ねると、希実は優しく吸い付いてきた。「夢の中でも愛してる人から愛されるのって素敵ね。ありがとう、祐樹」

希実は、幸せオーラいっぱいに満ち足りた笑顔を祐樹にむけた。

希実さん、違うよ。夢の中で希実さんを愛していたのは、三河屋さんなんだよ――。

祐樹は、喉から出そうになった言葉をぐっと飲み込んだ。
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