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人妻愛人契約
第15章 新しい夫婦のかたち
20分後、祐樹がサンガに駆けつけると、わざわざ沙耶がフロントの前で立って待ってくれていた。

「お待ちしてました」

「ご連絡いただき、ありがとうございます」

祐樹は頭を下げた。

「驚きました。朝、散歩してたら、川沿いの公園のベンチに希実さんが座ってたんです。ちょっと雰囲気がいつもと違うので心配になって。それで声をかけたんです」

「そうですか。それで希実はいまどこに……」

「奥の部屋で休んでます」

「三河屋さんは……」

フフ。沙耶は口元に妖しい笑みを浮かべた。

「気になりますか?」

「ええ」

「大丈夫。旦那さまは出張から、さきほど帰ったところです。希実さんがいる部屋とは別の部屋で祐樹さんのお越しをお待ちです」

「僕の?」

「はい。お話したいことがあると言ってました」

「はあ、そうですか……」

「どうぞ、こちらへ」

善一に会いたくはなかったが、希実がここにいる以上、会わないわけにもいかない。

祐樹は黙って、沙耶の後ろをついていった。

「こちらです」

沙耶は10畳ほどの洋間に案内してくれた。応接セットが置いてあるだけのシンプルな部屋だった。照明が少し暗い。

壁の一つに大きな窓がある。善一はその前に立って窓の外を眺めていたが、祐樹が来たのに気づくと振り返った。

「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

善一が手招きした。

「この窓はマジックミラーになってましてね。隣の部屋が見えるんですよ」

祐樹は善一の隣に立って窓の中を覗いた。

「希実!」

白いTシャツにプリーツのついた膝丈くらいのグレーのスカートをはいた希実が、大きなベッドの上に横たわっていた。
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