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人妻愛人契約
第15章 新しい夫婦のかたち
善一は足音を忍ばせてベッドに近づくと、寝ている希実の顔の側に口を寄せて、

「希実……」と声をかけた。

希実がゆっくりと目を開いた。

「善一さん……」

「久しぶりだな、希実。会いたかったよ」

善一はベッドの端に腰かけた。希実は上半身を起こすと、座ったまま警戒するように身体を後ろにずらした。

フフフ。善一が口元をゆるめた。

「話があるんだ。少しいいかな」

「なに?」

「お前の亭主と話をして、新しい契約を結ぶことにした」

「契約って……顧客システムの話?」

「違う、プライベートの方の契約だよ。もう一度、愛人契約を結び直そうと思うんだ」

「何を言ってるのよ。借りたお金は返したじゃない。もうそんな契約を結ぶ必要はないわ」

「今回の契約はお金は関係ないんだ。お前たち夫婦を救うためにやるんだ」

「どういうこと?」

「夜の生活はうまくいってるのか?」

希実の顔が曇った。

「……そんなこと、あなたに関係ないじゃない」

「隠さなくてもいい。うまくいってないのはわかってる。最近、全然してないんだろう。亭主が途中でふにゃふにゃになっちゃうんじゃ、やりたくてもできないよな」

「なんでそんなことを……」

「まだ若いのに、どうして柔らかくなるのか、教えてやろうか?」

「…………」

「お前を心から愛してるからだよ」

「愛してるから? それどういう意味よ」

「愛してるから、好きで好きでたまらないから、お前に最高の歓びを与えてあげたいんだよ。

男っていう生き物は、みんなそんなもんなんだ。自分の女に感じて欲しい、気持ちよくなって欲しいと思って、がんばってるのさ。自分が一番セックスが上手いと思われたいんだ。でも、みんながみんな上手にできるわけじゃない。あいつもそうだ。あいつの力じゃ、お前の身体に最高の歓びを与えることはできない。

あいつの不幸は、それに気づいてしまったことだ。しかも、そばに俺というお前に最高の歓びを与えることができる男がいることを知ってしまった。あいつは俺に負けないようにがんばろうとしたんだ。それがストレスになって、勃たなくなったんだよ」

「それが本当だとしても、そんなこと気にしなくていいのに……」

希実は眉を八の字にした。
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