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人妻愛人契約
第17章 冷たい闇
「まさか、あの夜、希実が事務所に来たのも――」

「察しがいいですね。理事長に指示され、私がそうなるよう仕向けました」

「清美さんと喧嘩したっていうのは……」

「嘘です。あいつとは一度も喧嘩したことはありません」

「…………」祐樹は言葉を失い、慎吾の顔を睨んでいた。「倒れたのは? あれも嘘だったのか?」

「あれは本当です。さすがにあれは演技じゃできません。良泉館の顧客関係はよくわかってましたから、お金なんて借りられないと思ってましたが、やることはやりましたからね。精一杯全力で。自分でもまさか倒れるとは思ってませんでした。齢ですね」

慎吾は苦笑した。

「そこまでしてくれたのになぜ……。こんなことをして赦されると思ってるわけじゃないだろうに」

「もちろん思ってません。いい潮時です。長らくお世話になりましたが、今日で良泉館をやめようと思ってます」

「今度俺がやる夜の店を任せようと思ってる。そういう仕事のほうが、こいつにはあってるんだ」

善一が言った。

「そこまで話ができてるのか……」

祐樹は悔しそうに顔を歪めた。

「そうなんです。それで今日は退職祝いを兼ねて、理事長が呼んでくれたというわけです」

慎吾はニンマリと笑い、希実の乳房を握り締めた。

「うんッ……」

希実が顔を顰めた。

祐樹はもう何も言い返せなかった。気力が尽きたようにガックリと肩を落とした。
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