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人妻愛人契約
第2章 三河屋
翌日、祐樹は紺のスーツ、希実はシックなベージュのワンピースというスタイルで、サンガを訪れた。
当然、着物を着ると思っていた祐樹が、希実にワンピースを選んだ理由を尋ねると、
「沙耶さんという立派な女将さんがいるでしょう。着物を着たら、かぶっちゃうじゃない。申し訳ないわ」という答えが返ってきた。そしてニコッといたずらっ子のように微笑み、「だって、わたしのほうが絶対きれいだもの」と舌を出した。
緊張を隠すために無理をしているのかも知れないが、いつもと変わらない希実の明るい姿を祐樹は複雑な気持ちで見ていた。
愛未は仕事に復帰したばかりの慎吾に預けることにした。事情を知っている慎吾は、「面目ねえ」と涙を流しながら、「私と清美で、お嬢さんのことはしっかり見させていただきます」と言ってくれた。
「愛未、ママとパパ、今日はお仕事で帰って来れないから、おじちゃんとおばちゃんのいうことをちゃんと聞いて、いい子でいるのよ」
「うん……」
子ども心に何かを感じてるのだろうか。愛未はどこか不安げな顔している。希実は膝まづくと愛未を抱きしめた。
「そんな顔しないの。明日には帰ってくるんだから」そう言う希実の目尻には薄っすらと涙が滲んでいた。「そうだ。お土産にケーキ、買ってきてあげようか」
「ほんと!」
「約束する」
「私、イチゴのケーキがいい」
「わかった。イチゴのケーキね」
「うん」
笑顔になった娘を見て、希実は立ち上がると、
「じゃあ、行ってくるからね」
微笑みながら手を振って玄関を出た。
当然、着物を着ると思っていた祐樹が、希実にワンピースを選んだ理由を尋ねると、
「沙耶さんという立派な女将さんがいるでしょう。着物を着たら、かぶっちゃうじゃない。申し訳ないわ」という答えが返ってきた。そしてニコッといたずらっ子のように微笑み、「だって、わたしのほうが絶対きれいだもの」と舌を出した。
緊張を隠すために無理をしているのかも知れないが、いつもと変わらない希実の明るい姿を祐樹は複雑な気持ちで見ていた。
愛未は仕事に復帰したばかりの慎吾に預けることにした。事情を知っている慎吾は、「面目ねえ」と涙を流しながら、「私と清美で、お嬢さんのことはしっかり見させていただきます」と言ってくれた。
「愛未、ママとパパ、今日はお仕事で帰って来れないから、おじちゃんとおばちゃんのいうことをちゃんと聞いて、いい子でいるのよ」
「うん……」
子ども心に何かを感じてるのだろうか。愛未はどこか不安げな顔している。希実は膝まづくと愛未を抱きしめた。
「そんな顔しないの。明日には帰ってくるんだから」そう言う希実の目尻には薄っすらと涙が滲んでいた。「そうだ。お土産にケーキ、買ってきてあげようか」
「ほんと!」
「約束する」
「私、イチゴのケーキがいい」
「わかった。イチゴのケーキね」
「うん」
笑顔になった娘を見て、希実は立ち上がると、
「じゃあ、行ってくるからね」
微笑みながら手を振って玄関を出た。