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人妻愛人契約
第3章 初めての夜
祐樹は、レストランへ案内された。一番奥にある個室に通されると、善一と希実が並んで座っていた。

善一は、祐樹が入っていくと、ニコニコしながら、「おはようございます」と言い、「どうぞ」と手で自分の正面に座るよう促した。

この座り方じゃあ、向こうの二人が夫婦みたいじゃないか。祐樹はイラッとしたが、朝から大人げないことを言ってもしょうがないので、

「おはようございます」と挨拶を返し、善一の正面に座った。

希実を見ると、希実も、おはよう、と挨拶を返してくれた。

元気がなかった。疲れているようだ。顔色が冴えない。

「昨日は、ゆっくりとお休みになれましたかな」

コーヒーを飲みながら、善一が言った。

「お陰様で」

「そうですか、それは良かった。私も思い出になる一夜を過ごさせていただきました」

善一は上機嫌だった。今日も、いろいろ嫌味を言われるのかと祐樹は身構えたが、善一はそれ以上、昨夜のことには触れなかった。最近の経済やスポーツといった差し障りのない話をしながら、三人は食事をとった。

希実は大人しかった。食事もあまり進んでいない。

善一もそれに気づいた。

「ん? 希実さん、あまり食べてませんが、口にあいませんか?」

気遣うように希実に言った。

「いえ、そんなことは……。ちょっとお腹の調子が悪くて」

「お腹の調子がよくない? 今朝のアレが悪かったんですかね」善一が言うと、希実がほんのりと頬を赤らめた。「薬を用意させましょうか」

「いえ、大丈夫です。ご心配いただき、ありがとうございます」

「そうですか。困ったことがあったら、なんでも言ってください。この三河屋がお力になりますから」

善一は、ガハハハと笑った。

身体を重ねたからだろうか。希実と善一の間には明らかに祐樹にはわからない、二人だけが通じ合うものがあるような感じがした。それは何なのか……。嫉妬で心がかきむしられる。胸がキューッと痛くなった。

昨夜、二人の間でどのような行為が交わされたのか。善一は希実にどんなことをしたのか。希実はどんな反応を示したのか。祐樹は、それが無性に知りたかった。
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