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人妻愛人契約
第4章 移りゆく季節の中で~夏、悪い夢
「ちょっと、そこの人」祐樹は、お客さんの一人から声を掛けられた。70歳くらいの男の人が立っている。「この荷物、運んでくれんかね」
「お預かりですね」
「ああ」
「お名前をお聞かせいただけますか」
「鈴木。鈴木一郎」
祐樹は、黒いキャリーバッグを持ち上げると、お客さんの先を歩き、玄関の中に入った。
「鈴木さま、お荷物のお預かりです」フロントに声をかけ、ロビーにあるソファの隣に荷物を置く。
「順番になりましたら、お声がけさせていただきますので、しばらくこちらに掛けてお待ち下さい」
「ありがとう。気が利くね」鈴木と名乗った男は、上機嫌で言うと、腰を掛けた。「それにしても、ここの女将さんは美人だね」
「ありがとうございます」
「隣にいるのが旦那だろう」鈴木は、顎でガラス戸の外にいる善一を指した。「こう言っちゃ失礼だけど、美女と野獣って感じだな。でも惚れたものどうし、仲が良さそうで羨ましいよ」
鈴木は笑った。
「あの、実は……」祐樹が、自分が夫です、と言おうとしたところに、フロントから「鈴木さま、お待たせしました」と声がかかった。
「お、順番だ」鈴木は立ち上がると、「ありがとうね」と言って、フロントへ歩いていってしまった。
はあ~。祐樹はため息をついた。
外を見ると、希実と善一が寄り添うように立って、次々と到着する客を迎えていた。希実が和服を着ていることもあり、恰幅のいい善一の隣にいると華やかな姿が妙にはまっている。これじゃあ確かに二人が夫婦と思われても仕方がないか、と祐樹は思った。
さて、どうするか。わざわざ間に割って入るというのも大人げないし……。祐樹は、玄関の内側で客を迎えることにした。
「お預かりですね」
「ああ」
「お名前をお聞かせいただけますか」
「鈴木。鈴木一郎」
祐樹は、黒いキャリーバッグを持ち上げると、お客さんの先を歩き、玄関の中に入った。
「鈴木さま、お荷物のお預かりです」フロントに声をかけ、ロビーにあるソファの隣に荷物を置く。
「順番になりましたら、お声がけさせていただきますので、しばらくこちらに掛けてお待ち下さい」
「ありがとう。気が利くね」鈴木と名乗った男は、上機嫌で言うと、腰を掛けた。「それにしても、ここの女将さんは美人だね」
「ありがとうございます」
「隣にいるのが旦那だろう」鈴木は、顎でガラス戸の外にいる善一を指した。「こう言っちゃ失礼だけど、美女と野獣って感じだな。でも惚れたものどうし、仲が良さそうで羨ましいよ」
鈴木は笑った。
「あの、実は……」祐樹が、自分が夫です、と言おうとしたところに、フロントから「鈴木さま、お待たせしました」と声がかかった。
「お、順番だ」鈴木は立ち上がると、「ありがとうね」と言って、フロントへ歩いていってしまった。
はあ~。祐樹はため息をついた。
外を見ると、希実と善一が寄り添うように立って、次々と到着する客を迎えていた。希実が和服を着ていることもあり、恰幅のいい善一の隣にいると華やかな姿が妙にはまっている。これじゃあ確かに二人が夫婦と思われても仕方がないか、と祐樹は思った。
さて、どうするか。わざわざ間に割って入るというのも大人げないし……。祐樹は、玄関の内側で客を迎えることにした。