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人妻愛人契約
第4章 移りゆく季節の中で~夏、悪い夢
蒸し暑い8月の夜のことだった。善一との逢瀬の日、希実は涼し気な白地に朝顔をあしらった浴衣を着た。
今までシンプルな洋服を選んでいたのに、どういう風の吹き回しだろうか。
「どうしたの、そんな恰好して」
祐樹が尋ねると、
「夏だからね。たまにはわたしもおしゃれしたいのよ」という返事が返ってきた。
そして、行ってきます、と言って、家を出て行った。
おしゃれか。何も善一のところに行くのにする必要ないのに――。祐樹の胸がチクッと痛んだ。今日もまたあのもやもやした一晩を過ごさなくちゃいけないかと思うと心が暗くなる。
しかし、この日、希実はすぐに帰ってきた。
「仕事が入ったから、三日後に延期して欲しいだって。だったらもっと早く言ってくれればいいのに」希実は怒っていた。「しかも本人が出てきて謝るのならまだしも、沙耶さんに伝言を頼んだのよ。サイテー」履物を脱ぎながら言った。
「それはひどいな」
「でしょう。とりあえず着替えてくる」
希実は、プリプリしたまま奥の部屋へ消えた。
その夜、希実は腹の虫が収まらないのか、なかなか寝付かれないようで、遅くまで身体をもじもじと動かし、ときどきため息をついていた。
今までシンプルな洋服を選んでいたのに、どういう風の吹き回しだろうか。
「どうしたの、そんな恰好して」
祐樹が尋ねると、
「夏だからね。たまにはわたしもおしゃれしたいのよ」という返事が返ってきた。
そして、行ってきます、と言って、家を出て行った。
おしゃれか。何も善一のところに行くのにする必要ないのに――。祐樹の胸がチクッと痛んだ。今日もまたあのもやもやした一晩を過ごさなくちゃいけないかと思うと心が暗くなる。
しかし、この日、希実はすぐに帰ってきた。
「仕事が入ったから、三日後に延期して欲しいだって。だったらもっと早く言ってくれればいいのに」希実は怒っていた。「しかも本人が出てきて謝るのならまだしも、沙耶さんに伝言を頼んだのよ。サイテー」履物を脱ぎながら言った。
「それはひどいな」
「でしょう。とりあえず着替えてくる」
希実は、プリプリしたまま奥の部屋へ消えた。
その夜、希実は腹の虫が収まらないのか、なかなか寝付かれないようで、遅くまで身体をもじもじと動かし、ときどきため息をついていた。