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人妻愛人契約
第4章 移りゆく季節の中で~夏、悪い夢
翌日の夜、仕事が終わったところに善一から電話がかかってきた。
「はい……はい……わかりました……」
電話が終わると、希実は和ダンスの引き出しを開け、浴衣を選びはじめた。
「今から来てくれだって。まったくもう。人を何だと思ってるのよ、あいつ」
言い方こそ怒っているが、どこかウキウキしているような雰囲気もある。
「え、今から行くの? もう11時だよ」
「しかたないじゃない……。これにしようかな」
希実は、藍色の生地に百合をあしらった浴衣を選んだ。
「もう遅いし、今夜は断ってもいいんじゃないか。三河屋さんだってわかってくれるよ」
「そうだけど、さっさと済ませたいのよ」
希実は着ているパジャマを脱いでいく。
「それは、わかるけど……」
祐樹は、それ以上、言えなかった。
希実は浴衣に袖を通し、黄色の帯を締めた。しっとりと落ちついた雰囲気。正直、善一に見せるのがもったいないくらい、きれいだった。
「本当に行くの?」
玄関で下駄を掃く希実に向かって祐樹は言った。
「うん」希実は頷いた。「愛未のことよろしくね。行ってきます」
カラン、コロン、カラン……。急ぎ足で出かけていった。
「気を付けてね」
小さくなっていく背中に祐樹は声をかけた。
「はい……はい……わかりました……」
電話が終わると、希実は和ダンスの引き出しを開け、浴衣を選びはじめた。
「今から来てくれだって。まったくもう。人を何だと思ってるのよ、あいつ」
言い方こそ怒っているが、どこかウキウキしているような雰囲気もある。
「え、今から行くの? もう11時だよ」
「しかたないじゃない……。これにしようかな」
希実は、藍色の生地に百合をあしらった浴衣を選んだ。
「もう遅いし、今夜は断ってもいいんじゃないか。三河屋さんだってわかってくれるよ」
「そうだけど、さっさと済ませたいのよ」
希実は着ているパジャマを脱いでいく。
「それは、わかるけど……」
祐樹は、それ以上、言えなかった。
希実は浴衣に袖を通し、黄色の帯を締めた。しっとりと落ちついた雰囲気。正直、善一に見せるのがもったいないくらい、きれいだった。
「本当に行くの?」
玄関で下駄を掃く希実に向かって祐樹は言った。
「うん」希実は頷いた。「愛未のことよろしくね。行ってきます」
カラン、コロン、カラン……。急ぎ足で出かけていった。
「気を付けてね」
小さくなっていく背中に祐樹は声をかけた。