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第5章 移りゆく季節の中で～秋、素足の魔女

「深田さんが作ったアプリ、とても評判がいいですね」

「ありがとうございます」

「どんなアプリなのか教えてくれませんか」

祐樹は、SNSを使ったアプリの仕組みを、素人の善一にもわかるように易しく説明した。善一の顔が見えないのがよかったのかも知れない。いつも以上にちゃんとしゃべれる。祐樹は、いま開発中のシステムについても説明を加えた。

善一は、うんうん、と相槌を打ちながら、祐樹の説明を聞いていた。時折ガサゴソと身体を動かす音も聞こえてくる。

「素晴らしい！」説明を聞き終えると善一は感動したように言った。「それを三河屋グループでも使いたいんですが、できますかね。旅館ごとに使っているシステムがバラバラで、統合したいと思ってたんですよ」

「もちろんできます。それぞれの旅館が使っているシステムとのインターフェスをどうするか考えなければいけませんが、そんなに難しくないと思います」

「さっそくお願いしますよ」

はぁはぁはぁ、呼吸が苦しいのか、善一が肩で息をする音が聞こえてきた。パンパンと身体を叩いているような音もする。祐樹は、ちょっと心配になった。