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第5章 移りゆく季節の中で～秋、素足の魔女

10月の最後の日曜日。希実は、旅館組合の広報室長として、小さなイベントを開催した。女将と子どもを集めて、ハロウィンの仮想行列をしたのだ。遊びに来たお客さんも無料で参加できるようにすると、100名近くの人が集まった。みんな思い思いの衣装を着ている。

希実は愛未とお揃いで魔女に扮した。「ママ、かわいい」「愛未ちゃんも可愛いよ」と二人は大はしゃぎだった。

希実は集まった人たちを先導し、トリック・オア・トリートと言いながら、温泉街を練り歩いた。子どもは行く先々の旅館でお菓子がもらえる。帰ってきたときには、愛未の茶色のトートバックが一杯になっていた。

それにしても希実は美しかった。大胆さはないが、愛未に合わせたオフショルダー、ミニスカートの黒いワンピース、黒い網タイツという姿は、ほどほどのセクシーさがあり、すれ違う男たちの視線を集めた。各旅館の旦那衆の評判もよかった。

「コスプレフェスティバルのいい前宣伝になるね」

祐樹が言うと、

「でしょう。だからやったのよ」

希実は、頭にかぶった黒い三角帽子に手をあてて、ニッコリと笑った。