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絶対に許さないからね
第17章 メッセージ
 詩子は部屋の隅の姿見に、
全身を映して見ている。
右に左に体を捻って、満足そうな顔。
紺色のワンピース、
髪を飾る赤いリボン。

「あ、そうだ。リボンの結びかた、教えてよ」

「いいわよ。詩子、こっちへいらっしゃい」

 詩子はめったにない素直さで母の前に正座で座り、
背中を向ける。
リボンをほどかれるのがくすぐったいのか、
くすくす笑っている。

「まずリボンをこう持って。
それで、こうしてこうしてここに輪っかつくってこう通して」

「待って待って、ちょっとはやすぎる。
なにひとつわからなかったわ。
もう一回、もっとゆっくりやってよ」

「ええ? ゆっくりやったわよ」

 母は言い、もう一度詩子のリボンをほどく。
昼下がり。
遺影の父の微笑みがやわらかく見える。
詩子がいて、母がいる。
お父さん見てる?
わたしたち、女三世代、
ようやく揃いました。
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