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絶対に許さないからね
第4章 愚かな母
「おー、きたか。暑いなー」

「わざわざごめんね」

 アスファルトが熱気でゆらゆら揺れている。
車は無駄に大きいワンボックスカーで、
几帳面な兄らしく、
夏の日差しの照り返しが眩しいくらい、
ぴかぴかに磨かれていた。

「いや、お前ひとりなら放っておくけど、
詩子がいるからなって思って。
詩子、久しぶり。また背が伸びたか?
大人っぽくなったなー」

 わたしにはぞんざいに、
詩子には気持ち悪いくらいの猫なで声。
詩子は見事なくらいの人見知り発動中。
いや、それより、
とにかくはやく車に乗せてくれ、暑いんだ。

 兄が運転席に乗り込み、
中からスライドドアを開けてくれた。
詩子が先に、続いてわたしも後部座席に乗り込む。
車の中は冷房がよく効いていて、
なにかよくわからない甘いにおいがしていた。
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