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絶対に許さないからね
第4章 愚かな母
「じゃあ行くか」
前を向いたままで兄は言い、
車は、これエンジンかかってるのって思うくらい静かに、
滑らかに動き始めた。
詩子は物珍しそうに、窓の外の景色を見ている。
詩子にとっては、まだ数回程度しか訪れたことのない町。
「ああ、そうだ。
上原が、今日は行けなくてすみません、だって」
詩子の首筋に浮いた汗を拭いてやる。
健康的な汗。
兄は顔を横に向け、横目でちらっとわたしを見た。
「なんだよ、よそよそしいな。
銀ちゃんでいいだろ」
わたしは無言で首をすくめる。
「仕事なんだからしょうがないよ。
シンガポールだっけ?」
「そう」
「いつまで行ってくるんだ?」
「冬くらい」
「そうか。女ふたりだけだと不用心だな」
前を向いたままで兄は言い、
車は、これエンジンかかってるのって思うくらい静かに、
滑らかに動き始めた。
詩子は物珍しそうに、窓の外の景色を見ている。
詩子にとっては、まだ数回程度しか訪れたことのない町。
「ああ、そうだ。
上原が、今日は行けなくてすみません、だって」
詩子の首筋に浮いた汗を拭いてやる。
健康的な汗。
兄は顔を横に向け、横目でちらっとわたしを見た。
「なんだよ、よそよそしいな。
銀ちゃんでいいだろ」
わたしは無言で首をすくめる。
「仕事なんだからしょうがないよ。
シンガポールだっけ?」
「そう」
「いつまで行ってくるんだ?」
「冬くらい」
「そうか。女ふたりだけだと不用心だな」