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絶対に許さないからね
第9章 赤いリボン
 なんてことを考えながら歩いていると、
もう駅についてしまった。
さすがに少し勇み足だったか。
まあいい。
駅から出てきて、
わたしから離れ丸一日分成長した詩子を激写してやろう。
そう思いながらポケットに手を突っ込み、
スマホを忘れてきたことにやっと気がついた。

 腕時計を見る。
まさか電車に乗ってないなんてことはないよね。
もしそうなら、光の速度よりはやく、
兄に電話しなければならない。
いや大丈夫。
普通にしていれば間違うことなんかない。
でもこんなときって間違いが起こるものだ。
スマホを持っていないときに限って着信があったり、
こっちから電話しなければならない用件ができたりする。
時計の盤面を見て時間を理解する一瞬の間にそれだけ考え、
迷っている時間が惜しくなって、わたしは踵を返した。
だんだん早足になり、いつの間にか駆け足になる。
駅からうちまでの時間、最短記録更新かもしれない。
エントランスを抜け、
なかなか降りてこないエレベーターの前で意味もないのに足踏みし、
両開きのドアに体をぶつけながら飛び乗って、
急いで部屋に戻った。
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