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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第8章 メイド 幸恵の過去

そんな風にお付き合いを始めた二人でしたが、
「付き合う」という定義からは少し違うと幸恵は思った。

なにせ、デートといえばラブホデートばかりで
夜にしか会ってくれず、
二人で映画に行ったり食事をすることはおろか
眩しい太陽の陽光を浴びての手を繋いで散歩したり
ドライブに連れていってくれるなんてことが一切なかったのです。

『私…もしかして遊ばれている?』

そんな不安が心によぎり始めた時の事です
彼が近々、専務の娘と入籍するという噂を
職場のお昼休みに食堂で誰かがヒソヒソ話をしているのを聞いてしまった。

ま、まさか!?

幸恵は彼にのぼせあげていたので
彼から小遣いの無心をされては
その度にお金を渡していたのです。

最初は一万円とか二万円だったのですが
そのうち五十万円だの百万円だのという大金になり
コツコツと貯めいた預金も底をついていた。

幸恵は、いつものようにホテルで彼に抱かれ、
情事が終わってから噂話の真意を彼に確かめた。

「俺が専務の娘と結婚?」

バカだなあ、単なる噂話だよと
一笑して否定されることを祈ったが

「隠していてもバレるもんなんだな…
ああ、本当だよ
俺は専務の娘と結婚する」

彼の口から噂話が本当だと知らされて
幸恵は目の前が真っ暗になった。

「じゃあ…私との付き合いは遊びだったの?」

「ん?俺、いつお前に交際を申し込んだ?
お前だって俺に抱かれて喜んでいたじゃん」

「じゃあ…お金を返して!
あなたにあげたお金を耳をそろえて返して頂戴!」

「返すつもりはないよ、それに借りたという証拠はあるのかい?
借用書なんか書いた覚えもないけどね」

「そ、そんな!」

「お前だって俺のチ○ポでいい思いをしたんだろ?
金は、いわば俺の体を使用した代金みたいなものさ」

騙された!!

生きて行く希望さえ見いだせなくて
そのまま身投げしようと橋の上に佇んでいたのを助けてくれたのが浅香久だったのだ。

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