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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第10章 グラビアデビュー
グラビア撮影の打ち合わせに行くために
指定されたホテルに向かおうとテレビ局の玄関を飛び出すと、一台の黒塗りのベンツに危うく牽かれそうになった。
「危ないわね!」
キッと、その車を睨み付けると
後部座席のドアが開いて浅香さんが降りてきた。
「いや、失敬失敬…
君のグラビアデビューが決まったと聞いて
お祝いをしたくて駆けつけて来たんだが
まさか君が飛び出してくるなんておもわなかったよ」
悪びれた様子もなく、どこかに行くのなら送っていくよと
強制的に圭子を黒塗りのベンツに乗せてしまう。
「あなたのお相手をする暇はないのよ」
「そう冷たいことを言うなよ
なんたって君は僕の童貞を卒業させてくれた大事な女性なんだからさ」
「浅香さん!そういうことはあまり大きな声で仰らないでください」
二人だけではないのだ
たぶんこれは社用車なのだろう。
運転手が興味深そうに少しだけ首を動かしてバックミラーを覗き込んでいた。
「日本の悪いところは性に対して寛大じゃないってことだよね
僕はさあ、何も悪いことをしたとも思っていないし」
「あなたがよくても私には不都合なんです!」
「あれっ?怒った?
怒った顔も意外とチャーミングだよね
さて、どこまで送らせてもらえばいいのかな?」
人のペースなどお構いなしのボンボン丸出しだわねと、圭子はため息をつきながら
「お耳に届いているようなので白状しますけど、
私、グラビアを撮ることになって、今から事前の打ち合わせに行くんです」
「ふぅ~ん、じゃあ、送ってあげるね」
そう言うのって凄く興味があるんだよと
圭子をホテルに送り届けるだけじゃなく、
打ち合わせの席にも着かんばかりに浅香は目を輝かせながらそう言った。