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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第12章 嵐の夜
その頃、浅香は隣の部屋の撮影隊リーダーの部屋をノックしていた。
「どうぞ」
どうやら寝付けずに、まだ起きていたのか
意外とハッキリとした声でリーダーは浅香を部屋に招き入れた。
「ようやく明かりが灯りましたね」
「緊急用の非常バッテリーなんです
だから常夜灯ぐらいしか灯せないけれど」
「いや、真っ暗闇から解放されただけでも嬉しいですよ
どうされました?やはり寝付けませんか?」
「ええ、体はクタクタなのに
いくらベッドに横になって目を閉じても眠りに落ちなくて」
「ははは、同じくですよ
どうですか、軽く一杯でも」
「いいですね
ではダイニングに参りましょうか」
二人は部屋を抜け出して、薄暗い廊下を歩き始めた。
「彼女…圭子さんと言いましたっけ?
あの子、もしかしたら売れるかもしれませんよ」
「彼女の人気がでるのは嬉しいんですが…
僕はね、あの子を手離したくないんですよ」
「人気が出て他の男に取られたくないんでしょ?」
「いや…そういうつもりでは…」
「隠さなくてもいいですよ
彼女を見つめる浅香さんの目を見れば彼女に惚れているのばバレバレですからね」
「参ったなあ…
本当にそんなんじゃなくて…」
そんな何気ない会話をしながら廊下を突き進んでいくと、あるドアの近くに来たときに部屋の中から悩ましげな声がしているのに気づいた。
『えっ?この声って…』
紛れもない、それは圭子のあえぎ声だ。
「たしか、この部屋って…」
「ええ、カメラマン助手の若い男の子の部屋ですね
どうやら若い者同士、愛を確かめあっているようですな」
「冗談じゃない!」
浅香の胸に嫉妬の炎がメラメラと燃え上がった。
部屋に入って怒鳴りつけてやる!
そう思ってドアノブに手をかけた浅香の腕を
撮影隊リーダーが「よしなさい」と浅香の手を押さえつけた。