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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第13章 帰京
「どうやら今日中には東京に戻れそうですね」
遅れてダイニングにやってきたカメラマンの助手は、閉じてあるシャッターを開けながら降り注ぐ朝日の眩しさに顔をしかめながらそう言った。
「ヒロインの圭子ちゃんは、まだ夢の中なんだろうか?」
姿を現さない圭子を心配して
どれ、起こしにいくとするかと階段を昇りかけた浅香を「疲れているんじゃないですか?もう少し休ませておいてあげましょうよ」とカメラマンの助手が声を掛けた。
ああ、そうだったな…
圭子は昨夜、コイツとメイクラブしていたんだっけ…
起き出してこないところを見ると
散々逝かされまくったんだろうなと
一人で合点したように浅香は意味深に「フフフ…」と笑った。
「まあいいじゃありませんこと?
飛行機が運行再開するにしても飛び立つのはお昼前でしょうから、それまでゆっくりとされたら…」
「そうそう、のんびりしましょうや」
早く帰らないと他の撮影の仕事があるのだと
昨夜はあれほどピリピリしていたのに
まるで帰りたくないと言わんばかりの態度の切り替えに撮影隊のリーダーは怪訝な顔をした。
「えっ?なんですか?僕の顔に何かついてます?」
じっとリーダーの男に見つめられて
慌ててカメラマンは頬を染めた。
「ふぅ~ん…そういうことね」
リーダーが漏らした言葉を浅香は「なにが、そういうことなんですか?」と聞き返した。
「いや、メイクラブを楽しんだのは僕らだけじゃないってことですよ」
リーダーが圭子とカメラマン助手の事を言っているのだと勘違いした浅香は「まあ、サナギはいつかは蝶になるってもんですよ」と
撮影隊の一行に気付かれないようにテーブルの下でリーダーの手を握った。