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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第13章 帰京
結局、何だかんだと運行ダイヤがめちゃくちゃになってしまい、撮影隊一行のチケットを確保できたのは午後3時の便だった。
しかも、まとまった座席を確保できずに
メンバーは離ればなれで座るしか仕方なかった。
「あれっ?幸恵さんの姿が見えないようですけど…」
カメラマンの男が周りをキョロキョロしながら
浅香に声を掛けた。
「ああ、彼女は別荘の片付けや掃除があるので
東京に戻ってくるのは明日になると思うよ」
「えっ?一人で後片付けですか?
何なら僕も戻って手伝ってあげようかな…」
「おいおい、あんたは他の雑誌の撮影スケジュールが立て込んでいるんだろ?
今日中に東京に戻らないと誰かに仕事を奪われるぜ」
ほら、ウダウダ言っていないで
登場ゲートへ向かうぞと
カメラマンは後ろ髪を引かれる思いで撮影隊のリーダーに急かさせてやむなく搭乗ゲートをくぐった。
「本当に彼女一人にして大丈夫なんでしょうか?」
なおも心配そうにカメラマンの男は浅香に問いただした。
「いつもの事だから慣れていると思うよ」
何をそんなに彼女の事を気にかけるんだとはかりに、浅香は、やや突き放したようにカメラマンに釘を刺した。
「いえ、でも、あの広い別荘に彼女一人だなんて物騒ですよ…
もし、誰かに襲われたら…」
「50過ぎのおばさんだぞ?
狙うのなら圭子のような若い女だろ」
「酷いなあ…彼女をおばさん扱いするなんて!」
カメラマンが憤慨するのを『変な奴だな』と
浅香は、それ以上彼に関わるのをやめた。