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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第13章 帰京
台風一過といえども
大気の状態は不安定なようで
帰りの飛行機はかなり揺れた。
揺れる度に圭子は、このときとばかりに
怖がるフリをして隣のカメラマンの助手に心置きなく抱きついた。
「ねえ、東京に戻ればハイさよならなんて寂しすぎるから、よかったら僕と付き合ってくれませんか?」
彼も怯えるフリをして抱きついてくる圭子の胸をさりげなく揉んだ。
「こんな私でもいいの?」
「ええ、あなたさえよければ
僕はずっとあなたの傍を離れたくないんです」
彼とは昨夜一晩ベッドを共にして
体の相性がバッチリだとわかっていたので
彼とはこれからもベッドを共にしたいと思っていた。
「こんな私でよければよろしくお願いします」
こちらの二人も周りの目さえなければ
今にもキスをしそうなほどに
頬と頬をスリスリした。
圭子は飛行機がもっと揺れればいいのにと願った。
そうすればもっと彼にしがみつくことができるのにと不埒な考えを起こしていた。
しかし残念ながら飛行機が四国沖を通過する頃には大気も安定して飛行機がほとんど揺れなくなっていた。
無事に羽田空港に到着して
到着ゲートを潜り抜けると
待っていたかのように圭子のスマホが震えた。
『誰からかしら?』
スマホ画面を確認すると
それはテレビ番組のディレクターである木ノ下からであった。
- おっ!ようやく連絡がついたな
大事な話があるんだ、これから会えないか? -
気さくな話し方だったけれど
『大事な話がある』と話すときだけ少しだけ怖いような口調だったので、その『大事な話』というのが何だろうと圭子は内心ビクビクしていた。