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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第14章 還暦女が掴んだ幸せ

こんなことは初めてだった。

体の奥が疼く…

正確には子宮が疼いて仕方無いのだ。
ムラムラするという表現の方が当てはまるかもしれない。

この浅香家の主である久に体を求められて
受け入れた事もあったが、
あの時でさえこんなにも体が疼くことはなかった。
それは久のセックスが下手だったとか言うのではない。
女を捨てて、この浅香家に尽くしてきて
そこの主に体を求められたことは
それはそれで嬉しかったのだが、
こんなにも体が男を求めて疼くことはなかった。

幸恵の体が男を求め始めたのは
浅香家の一人息子の準に命じられて
彼のお気に入りの女性である下村圭子のグラビア撮影に同行して、最後の一夜である嵐の晩に
カメラマンの男に体を許してからであった。

もう会うこともないだろうなと思っていた矢先、
撮影の場所として提供した別荘の後片付けを終えて
一人寂しく帰京した時の事だ。

浅香家の久と準は会社に出勤し、
奥さまの瑠璃子が婦人会の寄り合いがあるとかで
幸恵が浅香家に帰宅した時には誰もいなかった。

幸恵が少しだけ屋敷を留守にしていただけで
屋敷内は散らかり放題で
やれやれ、掃除に手間取りそうだと
どこから手をつけていいものやらと思案していると、来客を告げるインターホンが鳴った。

「はい、どちら様でしょう?」

どうせ宅配業者だろうと
なにげにインターホンの応答にでると
「我慢できずに訪ねて来てしまいました」と
あの夜、一夜を共にした撮影隊のカメラマンの優しい声が返ってきた。

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