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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第15章 青天の霹靂
「なんだよ…朝っぱらやかましいな」
パジャマ姿で股間をぼりぼりと掻きながら
ようやく息子の準が階段を降りてきた。
「もう!この子ったら!
幸恵さん、もうすぐこの屋敷を出ていくんだから
ちゃんと顔を洗ってお見送りしないと!」
自分の教育のいたらなさを恥じるように
瑠璃子は準を叱りつけた。
「そっか…幸恵とはこれでお別れなんだね…」
そう言って幸恵にお別れの言葉を告げようとして
エプロン姿の圭子に気づいた。
「あれっ?えっ?圭子ちゃん?
どうしてここに?」
「どうしてもこうしてもございませんわ
お坊っちゃまにご相談があるとかでご訪問されたのよ」
「相談?」
準の顔色が変わった。
きっと担ぎ上げた神輿を放り出してしまったことを責めに来たのだろうと思った。
「それはそうと…旦那様…
私の後釜はお決まりになりましたでしょうか?」
出来れば今日の午前中に来てもらって
引き継ぎをしたいのだと幸恵は話した。
「それがねえ…
住み込みで働いてくれるメイドなんて
すぐに見つかるわけではないのだよ…」
それにしても旨い味噌汁だねえと
飲み干してお代わりをくれないかと
お椀を圭子に差し出しながら圭子の料理の腕前に惚れ込んでいた。
「ならば…」
幸恵は思いきって心に思い描いていた妙案を当主の久に願い出た。
「彼女を…圭子さんを私の後釜として推挙いたしますわ」
「ブッ…!!」
席について圭子のこしらえた味噌汁を飲みかけていた準は突拍子もない提案に思わず味噌汁を吹き出した。
「この方をメイドに?」
瑠璃子も驚いて圭子の顔を見つめた。