この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第16章 玉の輿
同性愛について瑠璃子も京都の老舗下着メーカーの社長夫人とベッドを共にしたことがあるので
声を大にして否定することは出来なかったが、
女性同士のレズビアンならば白い肌が絡み合い
誰に見られても恥ずかしくない『美』を映し出すが、これが男性同士だと嫌悪感を抱いてしまう。
脛毛(すねげ)の足が絡み合うのは
どう考えてもそこに『美』を想像出来ないし、
男性同士だとペニスをどのようにいたぶるのか
想像しただけで寒気がした。
口でしゃぶり合うだけだろうか…
それともやはりアナルセックスで完結するのだろうか…
そういう『性の多様性』に理解すべき時代なのだろうけど、いざ、自分の肉親、それも腹を痛めた我が子だとどうしても理解できない。
「準さんが男色だと決めつけるのは早いと思いますが…」
メイドなのだから
意見を求められない限り口を開くことは許されないとわかってはいたが
準と肉体関係を結んだ圭子だからこそ
黙っている訳にはいかなかった。
とりもなおさず、準の童貞を卒業させたのは
他ならぬ自分だからこそ、思わず夫婦の会話に口を挟んでしまった。
「ねえ圭子さん…
あの子が本当に男しか愛せないのか
それとなく探りを入れて頂戴な」
「おいおい、瑠璃子!」
突拍子もない発言をした瑠璃子に
久は慌ててストップをかけた。
「この際、私たちはちゃんとあの子の事を知っておいた方がいいと思うのよ」
男しか愛せない性癖ならば
浅香家の血脈は準で途絶える事を意味していた。
それだけは避けたかった。
我が子には嫁を取らせて、可愛い孫の顔を見るのが還暦過ぎの瑠璃子にとっては唯一の楽しみだったからだ。
「あの…奥様…
探りを入れるとは?」
「もちろん夜這いをかけるのよ
圭子さんのような美女を相手に勃起もしないのなら…男色だという噂は事実だと認識しない訳にはいかないでしょ?」
「そ、それは…メイドの私に対する命令でしょうか?」
「そう、命令よ!
あの子を…準を襲って頂戴な」
断ることを許さないという意味合いで
瑠璃子は「いいわね?」と圭子を睨み付けた。