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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第16章 玉の輿
それよりも納得がいかないのは
当の本人の準であった。
仮に準が男の愛に目覚めていなければ
本来はいつかは圭子を妻にしようと考えていただけに、大手を振って大歓迎しただろうけれど、
今の準には女よりも男の体に興味があるので乗り気ではなかった。
「なんだ、不服そうだな」
表情の曇った準の態度を久は叱りつけた。
「あなた、当たり前よ…
準にだって女性の好みがあるわ
藪から棒に圭子さんを妻にしろと言われても困るわよ」
「いや、準の好みを考えていたら
こいつはいつまでも結婚何てしやしないだろうからな」
全てはお見通しなんだよと
久は鋭い眼差しを準にぶつけた。
「い、いや…圭子を妻にするのは異論はないけど…僕には圭子を幸せにする自信がないんだ」
「まあ!そういうことだったの?
大丈夫よ、所帯を持つことには誰もが不安がつきまとうわ
幸せなんてものはね…結婚して少しずつ積み上げていくものなのよ」
準に圭子を妻に娶(めと)る意志があるのならば
それに越したことはないと母の瑠璃子も俄然乗り気になっていた。
「圭子…本当に僕でいいのかい?
僕はその…今までの僕じゃないんだ…
僕は…君を…」
妻として夜の営みで愛せないかもしれないと
宣言しようとするのを「私、準さんとならどんな試練も乗り越える覚悟は出来ています」と
圭子が早口で準が男色宣言しようとするのを未然に防いだ。
「よしっ!決まりだな
善は急げと言うしな。関係各位に準が身を固める事になったと宣言しようではないか」
そうね、それがいいわと
瑠璃子は夫の久に異論は唱えなかったけど
本音は当家に見合う令嬢を嫁に迎えたいと思っていただけに、心の底から喜べなかった。