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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第1章 お天気ねえさん
「寝坊なのか?
おい!誰か電話して叩き起こせ!」
「無理です!今、起こしたところで
彼女のマンションからだとここまでに30分は掛かります」
「何で、こんな時間まで放っておいた!」
調整ブースの中に、一気に緊張感が漂う。
「放っておいたというか…
彼女、いつも遅刻してくるので
今回も本番5分過ぎぐらいに来るものだとばかり思っていました」
「もしかしたら、こっちに向かっているんじゃないですかね?」
淡い期待を込めて音声担当の男がそう言う。
「電話だ!電話してみろ!」
木ノ下に怒鳴られて
圭子はストップウォッチを投げ出してスマホを取り出した。
出演者名簿から木の葉みどりさんの番号を確かめて、急いで電話を掛けた。
しかし、何度呼び出し音が鳴ろうとも
彼女からの応答がなかった。
「くそっ!穴を開けれないぞ!
スポンサーがカンカンになって怒鳴り込んでくるからな!」
こうなりゃ、代役を立てるしかないと
木ノ下はアナウンス部へ連絡を入れた。
「もしもし!こちら『おはおはジャパン』だけどね、誰か女子アナを貸してくれ!
えっ?何?今朝は待機のアナウンサーが男ばかり?」
くそっ!使い物になんねえ!!
木ノ下は調整ブース室の内線電話の受話器を叩きつけた。
「こうなりゃ女なら誰でもいいだろ」
室内を見渡して、一瞬だけメイク係の女性を見つめたが「お前はダメだ!年増すぎる」と、すぐさま却下した。
そして、木ノ下の目は圭子をじっと見始めた。