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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第3章 お天気ねえさん、本格デビュー
圭子の素人っぽさが
数少ない視聴者の目に留まり
バズるというほどではないけれど
それなりにネット民の心に響いた。
そんな視聴者の一人が
スポンサーであり、提供番組を調査する浅香にもしっかりと届いていた。
「あら、お坊っちゃま…
今朝は珍しく早めのお目覚めでございますね」
浅香家のメイドである幸恵は
パジャマ姿でリビングのソファに座り
大型テレビの前に陣取っている浅香家の一人息子である準に挨拶も早々に驚きの声をあげた。
「やあ、幸恵さん、おはよう」
珍しく朝が早いだって?
ふん、僕はいつもこの時間には起きていて
自分の部屋のテレビで
我が社が提供する番組のスポットCMのチェックをしていたさ
今朝は、自分を男にしてくれた圭子が正式にお天気おねえさんのデビューの日だから大きなテレビ画面で見たかっただけだ。
「ねえ、幸恵さん、この娘(こ)どう思う?」
美人だと思わないかい?
番組は終わりを迎えて
各出演者が画面に向かって手を振っていた。
1カメの赤ランプが灯り
自分を撮っている事に気づいた圭子が
泣き出しそうな顔を必死に笑顔に変えて
「行ってらっしゃい」と手を振る。
「この女の子でございますか?
まあ、それなりに美人だとは思いますけれど、
これぐらいの女なら街中にごまんといるんじゃありません?」
自分が気に入った圭子を
そんな風に言われて浅香はムッとなった。