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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第4章 木ノ下ディレクター
「えっと…じゃあ、キュウリ巻きをお願いします」
「えっ?」
「カッパ…ですかい?」
圭子の注文に二人の男は目を白黒させた。
「いや、俺の財布の事など気にしなくていいんだよ
ほら、ウニでもイクラでも好きなものを頼みな」
「ええ、だから、キュウリ巻きを…」
木ノ下の懐具合を心配したわけではない。
圭子はキュウリ巻きが大好物だったのだ。
「あいよ!カッパ一本ね!」
カッパ巻きの用意をしながら
「やっぱ、あれだね
女はきゅうりが好きなんだよな
上の口からも下の口からもきゅうりを食いたがるってもんだ」
大将は圭子に対して下ネタも大丈夫と見定めたのだろう。
「これぐらいの太さが好きかね?」と
丸々と太ったきゅうりを圭子に見せつけた。
「大将、やめろよ
彼女はそんな下品な女じゃないぞ」
「そんなことを言いながらも
てめえは鮑(あわび)を注文するくせに」
早いとこ食うだけ食って
ホテルに駆け込んできゅうりと鮑(あわび)を貪りあいなと
木ノ下と圭子が男と女の関係だと信じて疑わない。
「ったく…
悪いな圭子。下品な大将で」
「全然!東京の下町にいるようで楽しいです」
「ほら見ろ、彼女の方がこちとらをよくわかってらっしゃる!」
カッパ巻きが圭子の前に差し出され
注文もしていないのに鮑(あわび)を木ノ下の前に差し出した。
「多分、お嬢さんのサイズはそれぐらいかなと
ちょいと小ぶりの鮑(あわび)にしておいてやったよ」
ほれ、ほれ、早く食っちまいなと
木ノ下と圭子の顔を交互に見やりながら
大将はニヤニヤしていた。