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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第4章 木ノ下ディレクター
「ったく、スケベな大将ですまなかったな」
寿司をつまんで日本酒をかなり呑んだので
木ノ下の足はおぼつかない。
寿司屋を出てからタクシーを掴まえるために
大通りに向かおうとしているのだが、
あっちにフラフラ、こっちにフラフラするものだから
一向に先に進めない。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫!
それよりさ…お前、いい女だよなぁ~」
酔いに任せて木ノ下はついつい本音を言ってしまった。
「相当に酔ってますよね
いつもはブスだのノロマだの、さんざん人をけなすくせに」
「それはお前、お前に惚れてる裏返しってやつだ」
俺はお前に惚れてるんだよ
そう言って人混みの中で人の目も気にせずに木ノ下は圭子に抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと!
ホントにもう呑みすぎですよ!」
道行く人たちは抱き合う二人を見向きもしない。
いつしかラブホテル街に差し掛かっていたので
そういう光景は、ここでは毎夜の事だからだ。
「俺さあ…今から家に帰ったら夜中に起きれる自信がないよ」
酒臭い息を吐きながら、
圭子にキスでもしようかというほどに顔を近づけてくる。
確かに今から家に戻ったところで
数時間もすれば早朝番組のために未明にはテレビ局に行かなければならないので、それはそれで面倒くさいなと圭子も思った。
「だからよぉ…ちょっと、ちょっとでいいんだ『ご休憩』していこうじゃないか」
酔っているから力の加減がわからないのか
ものすごく強い力で圭子の腰を抱いて
木ノ下はラブホテルの入り口に向かい始めた。