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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第5章 ヘアメイクの八木沢くん

それを無視して
信号が青になるのをひたすら待った。
青になれば全速力で走ろうと思っていると、
再びクラクションが鳴らされ、
助手席側のウィンドウが降ろされて
「圭子ちゃん?圭子ちゃんでしょ?」と
聞き覚えのある声がした。

『この声って…』

圭子は確認するために
腰を屈めて運転席に座る人の姿を確認した。
そこには毎朝、メイクでお世話になっているヘアメイク係の八木沢さんが手を振っていた。

「やっぱり圭子ちゃんじゃないのぉ~
どうしたの夜遊び?いけない子ね」

人懐っこい八木沢の顔を見た瞬間、
無性に心が癒されて、圭子は幼子のようにエーンと泣きじゃくってしまった。

「あらあら?どうしたの?
とにかく車に乗りなさいな」

そのように促されても
圭子は泣きじゃくるばかりで立ちすくんだままでした。

「もう!仕方のない子ね」

八木沢は車を降りて、圭子の腕を取ると無理やり助手席に乗せた。

「あんたの家はどこだっけ?
送っていってあげるわよ」

家に送り届けられて
ポツリと一人になるのがイヤだった。
だから圭子は「帰りたくない」とポツリと漏らした。

「じゃあ…狭いけどワタシんちに来る?
熱いコーヒーぐらいなら飲ませてあげるわ」

願ってもないお誘いだったので、
圭子はコクリと首を縦に振った。


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