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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第1章 お天気ねえさん
放送終了後…
天気概要の原稿を読むだけなのに
圭子は人生最高の緊張感を味わい、腋汗がびっしょりだった。
「おいおい、衣装部が怒ってくるぜ
もしかしたら買い取りかもなぁ」
「えっ?自腹で買い取らないとダメなんですか?」
「心配すんな、買い取りになったら俺が買ってやるからよぉ」
女の腋汗の染みたメイド服なんて
そう滅多にお目にかかれないから
買い取って自分の家で匂いを嗅ぎながらオナニーをしてやろうと音響係の男は愉快そうに笑った。
後片付けをして「おつかれさん!」とスタッフが調整ブースを後にしようかとした時だ。
けたたましく室内の内線電話が鳴り響いた。
『来たか…』
木ノ下には心当たりがあった。
多分、一瞬とはいえ、圭子のパンツを茶の間に放送したんだ。
頭の固い視聴者からクレームが来たに違いない。
『始末書の一枚や二枚なんざ、いくらでも書いてやるさ』
覚悟を決めて受話器を上げると
スポンサー様がお見えになっているから
至急、会議室に来るようにと呼び出された。
「呼び出しでしょ?」
音響の男は愉快そうな顔をして
今にも吹き出しそうにプルプルと唇を震わせながらそう言った。
「ピンポーン、当たり、その通りだよ」
そんな会話を聞きながら調整ブースを出ていこうとする圭子を木ノ下が呼び止めた。
「お前もだよ、二人で会議室に来いだとさ」
「えっ?私もですか?」
やっぱり原稿の読み間違いを何度もしたから
叱られるんだわと
今度は脇汗だけでなく、全身から冷や汗が流れ始めた。