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お天気お姉さん~明日、晴れるかな~
第1章 お天気ねえさん
コンコンコン…
心なしか、とても重々しいノックの音が響く。
しばらくして「入りたまえ」と
重厚で威厳に満ちた声が室内から返ってくる。
「失礼します」
やや不貞腐れた態度で木ノ下は会議室に足を踏み入れた。
彼の後に続いて、彼の背中に隠れるようにして「失礼します」と圭子も続いた。
「待っていたよ…
まあ、掛けたまえ」
大きなテーブルの向こう側には三人の男が座っていた。
右から順番に大石編成局長と葉山制作部長だと
小声で木ノ下が圭子に教えてくれた。
じゃあ…一番左の方は?
教えてもらえなかったので
圭子は木ノ下に問い返した。
「さあ…見かけない顔だな…」
小声でゴニョゴニョ言い合っているものだから
葉山制作部長が焦れて
「何をヒソヒソ話しているんだね!
早く着席したまえ」と
部屋の中央まで歩みを進めない二人を急かした。
「はいはい…わかりましたよ」
責任者の二人が顔を揃えている事からして
こりゃ、始末書ぐらいでは済まないなと
木ノ下は左遷を覚悟して席についた。
タイミングがズレて少し遅れて圭子も椅子に腰かけた。
「やってくれたねえ」
葉山が二人の顔をジロリと見比べて
口をへの字にした。
「いや、あれは不可抗力というか
カメラの切り替えボタンを間違ってしまって…」
今さら言い訳なんて男らしくないなと思いながらも、出来れば今の地位を守りたいと木ノ下はへりくだった。